インフルエンザの予防

板橋稲門会 健康セミナー

インフルエンザの予防

冬になると毎年インフルエンザが流行します。
インフルエンザは急に高熱が出る病気で、乳幼児では時として急激に悪化し、脳炎、脳症を起こすこともあります。
インフルエンザにはワクチンがあり生後6か月から接種することができます。

点鼻という選択肢

従来のインフルエンザワクチンは注射でしたが、新たに点鼻という選択肢が増えました。
点鼻のインフルエンザワクチンは、2歳以上19歳未満の人を対象としています。
弱毒化された生インフルエンザウイルスを鼻の粘膜に直接届けることで、体の免疫反応を引き起こし、インフルエンザの予防効果が期待できます。
国内の臨床試験では、点鼻ワクチンを接種したグループでインフルエンザの発症率が約29%減少したことが確認されました。
注射が苦手な子どもにとって、点鼻である点はメリットといえます。

点鼻薬:フルミスト

フルミストは2003年に米国、2011年に欧州、2023年に日本で認可され、日本での接種は2024年10月より可能となりました。
フルミストの特徴は、注射ワクチンの刺激で誘導されるIgG抗体だけでなく、実際にインフルエンザに罹患した時と同じ気道分泌型IgA抗体も誘導します。
そのため、特に2~7歳で予防効果が高いと言われています。
また、13歳未満は注射ワクチンだと2回接種が必要なのに対し、フルミストは1回接種で済みます。
さらに、効果の持続期間は注射ワクチンでは約4~6ヶ月なのに対し、フルミストは約12ヶ月と言われています。
主な副反応は、鼻水や鼻づまり、咳、微熱といった軽い風邪のような症状で1~2日で自然に治まります。

一方、接種を受けられない方もいます。
現在、喘息の発作のある方、発熱(37.5度以上)してる方、重度の免疫不全の方、または同居の家族にいる方、抗がん剤や免疫抑制剤を使用中の方、フルミストの成分(ゼラチンなど)に重いアレルギーのある方、重い鼻づまりで、両鼻がほぼ完全に詰まっている方、4週間以内に他の生ワクチン(麻疹風疹、おたふくかぜ等)を接種した方、などです。

フルミスト接種時の注意点としては、接種当日は過激な運動は避ける、接種後1~2週間は、飛沫や接触でワクチンウイルスの水平伝播の可能性があるため、重度の免疫不全者と密に接することを避ける、ことです。

費用は全国平均8500円で、注射ワクチン2回分と差は大きくありません。
ワクチンは注射、点鼻、いずれにも優れた点、副反応等の注意点があります。
正しい情報を基に、かかりつけ医と相談の上で接種を検討してください。


参考:日本医師会雑誌
文責:窪田公一

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