夏バテの正体と予防

板橋稲門会 健康セミナー

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夏バテの正体と予防

夏バテとは夏の暑さによる自律神経系(交感神経と副交感神経)の乱れに起因して現れる様々な症状です。すなわち、疲労や老化の中核となるメカニズムである、生体酸化、修復エネルギーの低下、免疫反応、これらを解決しようと頑張ってきた自律神経系の機能低下、が挙げられます。

夏バテの主な症状

まず、疲れ、だるさ、睡眠の質の低下、食欲不振、体温調節不良、風邪症状などがみられ、重症化すると、循環器系、呼吸器系、消化器系、内分泌代謝系などの問題から、多くは脳神経系に波及し精神的にも意欲低下や抑うつ状態になります。


夏バテの主な原因

  1. 温度差による自律神経の乱れ:空調設備が普及した現在では気温と湿度の急激な変化により自律神経のバランスが乱れて起こることが多く、何度も起こると体温調節を担っている自律神経系の機能が低下します。
  2. 水分不足:自律神経は内臓の働きもコントロールしているため、乱れると胃腸の働きが低下します。
  3. 睡眠不足:睡眠不足になると、自律神経の働きが乱れ、交感神経が優位になります。



夏バテ予防

  1. 水分を取る:成人で1日1~1.5ℓの水が必要で、運動や暑さで汗をかいた時は必要に応じて増やしましょう。
  2. 夜更かしをしない:夜遅くまで無理に交感神経を働かせていると眠りに必須の副交感神経の働きが妨げられ、睡眠の質に影響します。そこで、自律神経の乱れを整えるために7~8時間程度の睡眠時間を確保しましょう。
  3. 軽い運動を日常的に行う:運動は体力だけでなく、自律神経系のバランス調整や睡眠の質にも関与して重要です。
  4. 湯船につかる:副交感神経を優位にするために、ぬるめの湯船につかってリラックスしましょう。
  5. 冷たい食べ物、飲み物を取りすぎない:冷たすぎる飲み物は、胃腸の動きを鈍くさせ、食欲不振や消化不良に繋がります。温かい飲み物を飲んだり、加熱調理や香辛料を加える工夫をして、胃腸を温めるようにしましょう。
  6. 1日3食しっかり食べましょう:朝食を食べることで、体の活動モードにするスイッチが入ります。ソウメンなどの麺類だけでなく、たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラルがとれるバランスの良い食事を心掛けましょう。ビタミンB1は疲労回復に役立つビタミンです。豚肉や玄米、ウナギ、蕎麦に多いです。


  7. 参考:日本医師会雑誌
    文責:窪田公一

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